関東の荒れ野に、ド派手に歌い踊る頓狂な痴れ者がいた。
男の名は、浮世の義理も昔の縁も三途の川に《捨之介》。
ボロをまとうその瞳には、しかし大いなる野心が宿る。
非道の鉄機兵二万を擁する関東髑髏党を率いて、秀吉の天下を覆し、この世に新たなる王土を築かんとする《天魔王》。
関東の自由を守るため髑髏党の横暴に立ち向かう、色里「無界」の主人《無界屋蘭兵衛》。
三者三様の時の輪が、奇なる縁に手繰られて重なり合ったその時、「無界」に集う者たちに血の匂いが漂い始める。
この色里きっての花魁にして女伊達、人呼んで、会って極楽遊んで地獄、男殺しの《極楽太夫》。
信じるは己の才覚のみ。
自在に戦場を駆け巡る男、《渡京》。
関八州荒武者隊を率いて己の信じる道を突き進む傾奇者《兵庫》。
その背中を追い続ける純朴な若者、《少吉》。
そして極秘の絵図面を手に《天魔王》から逃げ続ける女、《沙霧》。
そんな若者たちの行方を三界に枷なしのやせ牢人、《狸穴二郎衛門》が見守っている……。
関東荒野に忽然と浮かび上がる漆黒の城―――髑髏城。
鉄機兵が四方を固めるその《天魔王》の居城へ、《捨之介》たちが乗り込んでいく。
手にしているのは「斬鎧剣」。
孤高の刀鍛冶、《贋鉄斎》が鍛えし業物だ。
「天」の意思を受け継ぎ、自ら新たな「天」とならんとする《天魔王》。
果たして地を這う《捨之介》たちの滾る怒りは、絡みつく因果の糸を断ち切って、羽を広げ、空を舞い、天空を突き破ることができるのか?
K.Nakashima Selection Vol.26
『髑髏城の七人』が装い新たに蘇る!
花鳥風月バージョン第二弾 “鳥”髑髏
※本商品は書籍です。