少年・身毒丸は、幼いころに死んだ母の面影を求めて今日も町を彷徨っていた。
父親は身毒丸の心情など意に介さず、「母を売る店」で新しい母を買うことにする。
その店には、かつて旅芸人をしていた撫子という女がいた。
無理やり母選びに連れて来られた身毒丸と撫子の目が合った瞬間、
父親は撫子を母に選ぶことを決める。
撫子は連れ子のせんさくと共に家に入った。
「家」という容れ物に、父と母と子供が揃い、父親にとっての理想的な「家族」が完成する。
しかし、身毒丸は撫子を母として受け入れられず、反抗的な態度をとる。
撫子は生身の女としてではなく、所詮は家を構成する「母」という
置物としての役割しか与えられていないことを嘆いていた。
身毒丸一人を除け者にして、形ばかりの「家族合わせ」が続けられていく。
撫子が家に来てはや半年が過ぎたが、身毒丸は撫子に決して心を開こうとしない。
親しげに話しかける撫子を激しく拒絶し、「まま母」と罵る身毒丸。
追いつめられた撫子は、ついに身毒丸を折檻する。
堪らずに逃げ出した身毒丸は、奇妙な仮面売りに出会った。
異界に通じるという不思議な穴を
仮面売りから借りた身毒丸は、亡き母が待つ地下の世界へと赴く。
夢遊病者のように地獄を彷徨い、ようやく巡り会えた母。
──と思ったら、それは撫子だった!
大竹しのぶ×矢野聖人の新キャストで挑む「禁断の愛の世界」
蜷川幸雄が挑む「身毒丸」史上最大の衝撃的結末!!