HOME > お仕事拝見 > 第7回制作:伊藤達哉さん


前編では、のちに阿佐ヶ谷スパイダース主宰となる長塚圭史さんと伊藤達哉さんが初めて出会った時のエピソードや、そこから制作として携わるようになった経緯、そして公演を行う際の制作業務・前半までの流れを、順を追ってご紹介して頂きました。
後編となる今回は、いよいよ稽古などが始まる公演直前から公演後までの制作さんのお仕事などをご紹介して頂きます。
それではさっそく、『阿佐スパ流・制作のススメ』後編をご覧下さい
| 宣伝・広報活動など全体の進行作業をしつつも、この時期の制作さんは常に稽古へ立ち会って、演出家やスタッフ、出演者間の連絡を円滑に行えるよう動きます。公演も間近になると、ミーティングも密になり、さらに多忙の日々となっていきます。

いよいよ稽古が始まると、現場がうまく回っているかどうか、心を砕く毎日が続きます。毎日のちょっとした心遣いの積み重ねが、作品の出来そのものを大きく左右すると思っています。アーティストたちが真剣にひとつの作品に向かっている現場に立ち会っていられると、制作としてはいくらでも献身したくなるものです。そんな現場になるような環境を整えるためには労を惜しまないのが制作という仕事の大事なところだと思っています。
阿佐ヶ谷スパイダースはプロデュース制をしいているため、出演者の顔ぶれは公演ごとに大きく変わります。また、スタッフにしても公演ごとに長塚がその作品に最も合うと思われる方を選んでオファーするようにしています。各公演ごとにキャスト・スタッフがどのようなカンパニーになるのか、そのカンパニーからどんな作品が生み出されてくるのか、毎回本当に楽しみです。 |

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| いよいよ公演期間。チケット受付や客席内の誘導など、舞台の印象を左右し兼ねない大事な接客業務や楽屋側のセッティングなどなど……これまでの業務に、さらに公演現場ならではのお仕事がプラスされます。

本番が始まってからも様々な業務に追われますね。もう今ここで羅列するのも嫌になるくらい様々なことをしなくちゃなりません(笑)。
よく覚えているのは、8月のお盆の真っ只中に駅前劇場で行った公演『イヌの日』での出来事です。かつて自分が駅前劇場で芝居を観ているときに、冷房直下の席のあまりの寒さにまったく舞台に集中できなかった経験がありました。
200人程度の狭い空間ですから真夏ともなれば客席内の温度はどんどん上昇するのですが、冷房直下の6席のみはものすごく寒くなる、そういう客席構造だったのです。私の味わった経験を阿佐ヶ谷スパイダースのお客さんには体験させられないと考え、あらかじめボランティアスタッフにショールをたくさん集めておいてもらい、開場中にお客さんに配ったのです。これは大変喜ばれました。
このようにお客さんの立場にたっていろんなアイディアを出せる、本番運営はまさに制作のセンスが問われる場なのです。
あとは強いてあげるならば飲み会の仕切りですかね。予約から精算までつつがなく、参加者みんなが気持ちよく飲める場を作る、というところでしょうか。お客さんが期待を持って集まる場、キャスト・スタッフが気持ちよく過ごせる稽古場、参加者みんなが楽しく飲める場、そんな「場」を創出すること、これが制作という仕事の本質なのかも知れません。
まだまだ経験も浅いので偉そうなことは言えないのですが。 |

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| 公演も終わり、劇団としては一段落。ところが制作さんはその後も仕事がたくさんあります。この決算などのまとめの業務は、次の公演を企画する際に必要なデータとなる、とても大事な作業になります。

地方公演も全て終わり、東京公演の精算、各地方公演の精算が終わる頃には、すでに次回公演の準備がかなり本格化してきています。こうして休む間もなく一年中演劇公演のことを考えているんですよ。 |

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今回の『お仕事拝見!!』第6、7回は、前後編の二回にわたり制作さんのお仕事ぶりをご紹介致しましたが、その内容の範囲の広さにみなさん驚かれたと思います。一言では伝えきれない「制作」という職種を、では伊藤さんはどのように思い、活動されているのでしょうか。最後にお伺い致しました。
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他劇団の若手制作さん同士の交流も、大事なお仕事のひとつ。
以前ご紹介したプロデューサー細川氏を囲んで。 |
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制作とは何をする人ですか、とよく聞かれます。私は、作家・演出家・俳優・美術家・照明デザイナーなどアーティストたちが創り上げた『作品』を『公演』に仕上げる人、と答えるようにしています。
公演を成立させるためには、『作品』を劇場の舞台に上げて客席にお客さんを集めなければいけません。作品創り以外のおよそ全てのことを担当する、それが制作ですね。
阿佐ヶ谷スパイダースの場合、作品自体の責任は長塚が負っており、公演として成立させる責任を私が負っているというわけです。
あとは、阿佐ヶ谷スパイダース制作部の基本理念としては大きく2つあります。長塚の作品世界をなるべく多くの人に観てもらう、ということと、長塚の表現の実現可能性をできるだけ高めていきたい、ということです。そのためには、今後も動員を増やしていきたいですし、積極的に地方公演を展開していくつもりでいます。 |
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伊藤達哉(阿佐ヶ谷スパイダース制作) |
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千葉県出身。
早稲田大学在学中、クラスメイトであった長塚圭史とともに「劇団笑うバラ」の旗揚げに参加。 音響、制作などを担当する。その後一時演劇活動から離れるものの、2000年に阿佐ヶ谷スパイダース制作部に復帰、『イヌの日』より全作品の制作を担当している。
<阿佐ヶ谷スパイダース>
阿佐ヶ谷スパイダースとは、主宰・長塚圭史氏が早稲田大学在学中に結成したプロデュース集団であり、長塚氏は全作品を作・演出、また役者として出演もしている。
固定の役者は二人のみで、長塚氏の高校の同級生である伊達暁氏と他劇団の看板役者だった中山祐一朗氏、その他は全てスタッフで構成される。
1996年12月に上演された、当初は一回きりの企画のつもりだった公演が思いのほか好評を博し、二回目以降は積極的に小劇場界で活躍する役者を招き始める。こうして毎公演実力のある役者を集め、意外なユニットで話題を呼ぶプロデュース形式の公演スタイルが定着していった。
問)阿佐ヶ谷スパイダース 03-5465-1656
http://www.spiders.jp/ |
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