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お仕事拝見!!今回は『女優 新井友香さん』のお仕事を拝見いたします。
女優さんというお仕事のスタイル、取り組み方は多種多様。
そのため今回は、92年に「エロ・バカ・ショック」を信条として総代・河原雅彦氏を中心に結成され、02年に昇天されたHIGHLEG JEJUSにご所属の新井友香さんにエッセイを書いていただきました。
テーマは「芝居仲間と仲良くなる方法」。
とある日、新宿御苑にて晩夏を過ごされるお姿とともに、独特な文才・視点での世界観をお楽しみください。

気がつくと、芝居を10年もやっていた。出演した舞台の本数は50を越えてから数えるのをやめてしまった。お客さんが19人しかいないような事もあった。
初めてある劇団に参加した時、公演が終ってそのメンバーと別れる事をとても辛く思った。
劇団の主催の人が打ち上げで、またこのメンバーで芝居をすると言い、それを信じていた。1年以上たって全くやる気配が無いので、一緒に参加していた女の子に「またやりたいよね」と同意を求めた。しかし、彼女は「自分は今、上を目指しているの。いつまでもあの人達とつるんではいられない。あの人達も上を目指して、お互いの接点があればやってもいい」と語った。
彼女から私は相当甘っちょろく見えたのだろう。その時は一緒に「そうだよねぇ」などと同意して貰うつもりで話していたので、びっくりした。
しかし、よく考えると彼女の言うことは正しいのだ。私はそのような前向きな姿勢になれた事は一度も無いのだが。その彼女も数年前、芝居をやめてしまった。

芝居をやっていると、とても沢山の人と関わらなければいけない。役者だけでは無く、スタッフさんもいる。自分の劇団だと、頑張らなくても親しくなれる時間は嫌と言うほどある。しかし客演やプロデュース公演だと、1,2ヶ月で出会いと別れを経験する。急激に親しくなり、後は殆ど会わなくなる。まれに本当に親しくなる事もあるが、大抵は顔見知り程度の仲に落ち着いてしまう。
始めはこういう事態に酷く戸惑った。時間をかけて仲良くなれないので、とにかく一緒に酒を飲む事から始める。メンツによってキャラクターも調整する。年上が多ければ、甘えっ子に、年下が多ければちょっとしっかり者に。
仲良くなりたい気持ちがはやるのか、キス魔になり男女問わず襲ったりする。
しかし、ある時かなり若い男の子にキスをしようとして拒まれた。実をいうとその時の記憶はない。人づてに聞いたのだ。「お前は馬鹿か!」と怒鳴り逆ギレしていたそうだ。その話を聞いて以来、男の子にキスをするのはやめるように心がけている。

最近は年も年なので、ブリッコしても気持ち悪いだけだ。そういう時はおばさんキャラで居場所を確保したりする。自らを「うば桜」と言い、若い可愛い子をよいしょしたりする。ちょっと切ない。
もともと、あまりしっかりしていないので酔っ払い過ぎて記憶を無くしたり、寝ゲロをしてしまったりで迷惑を掛けたりもする。
「みつばち」(※1)の公演でも記憶を無くし、役者さんと演出助手の男の子にかついで貰った揚げ句、ゲロを掛けてしまった。後からその話を聞き衝撃を受け、平謝りをする。
中山祐一朗君(※2)によると私を何とか運んで人の家に収容するという作業が、皆の共同作業のようになって結束が固くなったとの事だ。
しかし、迷惑を掛ける側にばかりいてはいけない。自分がしっかりしている時は、なるべく酔っ払いを介抱するように心がけている。
自分よりかなり年上の男性をトイレへ担いで水を飲ませ、手を口に突っ込み吐かせた後、寝かしつけた事もある。その時は、吐かせてあげたのに私の高価な革のコートに寝ゲロをされ、ダメージを受けた。しかし、その後高価な花束を貰った。済んでしまえば悪い記憶ではない。その人ももう芝居をやめてしまった。

沢山の人に出会う割に、大抵酔っぱらっているのであまり詳しい記憶は残らない。ただ、なんだか楽しかったという漠然とした記憶が残る。
その後シラフで会うと、何を話したらいいのか気恥ずかしく、やはり飲んで話してしまう。お互い酔っぱらうと、やっと仲の良いお友達だった実感が湧いてくる。
だから、演劇人には酒飲みが多いのかもしれない。しかし、これでは体にも悪い。ウコンが手放せない。
芝居のセリフは本番では考えなくても出るようになっているが、次の芝居の時には新しいセリフによって殆ど押し出され、忘れてしまう。そんなように、人との楽しい記憶も押し出されて脳の中のめったに開けない倉庫のような所に入り込んでしまう。お酒によってその倉庫が開かれるのだ。
仲良くなってもどうせ離れ離れになる。その暗黙の寂しさが、ますます宴会を激しくしてしまうのかもしれない。
最近はめっきり酒が弱くなった。
飲んだ翌日はかなりばてている。芝居を円滑に行えるように飲み始めた筈なのだが、芝居に支障を来してしまえば本末転倒なのだ。これではただの酒飲みである。最近遅まきながら、その事に気付いた。
現在はシラフのまま酔える方法を模索中である。

※ 1.「みつばち」・・・演劇ユニット 阿佐ヶ谷スパイダース(主宰・長塚圭史)2003年公演。
※ 2. 中山祐一朗・・・「阿佐ヶ谷スパイダース」メンバー。ほとんどの作品に出演。

 

  次回、2003年上演・阿佐ヶ谷スパイダース「みつばち」に出演されていた際の
貴重なお写真とエピソードをご紹介して頂きます。お楽しみに!!
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