いつの頃からか蜉蝣峠に一人の男が棲みついた。その名は闇太郎。この男、名前以外の記憶がない。ある日、元旅役者の銀之助と出会い、麓のろまん街へと降りてきた。さびれて荒んだ宿場町のろまん街では、立派と天晴の二人の親分による抗争が続いていた。実はこの二人は義理の兄弟。天晴の姉・お寸が立派の女房だからだ。闇太郎と銀之助は危うく斬り合いに巻き込まれるところを、飯屋のがめ吉に助けられる。その時、声をかけてきた女があった。天晴組に囲われているその女・お泪は、闇太郎を知っていると言う。その意外な過去を思い出せないながらも、闇太郎はお泪にひかれていく。一方、天晴は闇太郎の腕を買い、代官殺しを持ちかける。天晴組優勢! しかし、立派組の跡取り・サルキジが江戸から戻り、抗争は激しくなる。さらに、ろまん街荒廃の原因となった25年前の通り魔殺人事件の謎がからんで、闇太郎は次第に追い詰めれていき・・・。






































































毎回チケットが即完するなど圧倒的人気を誇る劇団☆新感線と、舞台・映画・ドラマの脚本、役者やバンド活動などマルチな才能で注目を集めるクドカンこと宮藤官九郎。その2つの才能がコラボし、09年春に東京・大阪にて上演された傑作舞台『蜉蝣峠(かげろうとうげ)』。
宮藤官九郎は、06年に『メタルマクベス』を書いて新感線に参加していますが、この時はシェイクスピアの『マクベス』をベースにした、言うならば脚色としての参加。今回の『蜉蝣峠』は、初の完全オリジナル作となります。
新感線が得意とするかっこいい立ち回りと迫力の音楽に加え、その演目の中でも最もドラマ性に重きを置いた“いのうえ歌舞伎”シリーズ。近年は人間模様・感情の動きを丁寧に描き、さらに“お芝居”としてじっくり魅せる方向性を示すようになってきました。それを脚本・宮藤官九郎が、その独特な笑いのセンスと毒でぶっ壊すという意味で、“いのうえ歌舞伎☆壊<PUNK(パンク)>”と名付けられた『蜉蝣峠』は、その期待に恥じない、まさに《何でもあり!》なアウトロー時代活劇となりました。
キャストも新感線ならではの超豪華さ。新感線の看板役者・古田新太と、堤 真一、高岡早紀を筆頭に、勝地 涼、木村 了、梶原 善といった各界で活躍するゴージャスなメンバー、そして粟根まこと、高田聖子、橋本じゅんら一癖も二癖もある劇団の要俳優が勢揃いし、公演時は連日熱狂的な観客で埋め尽くされました。
新感線が得意とするロック感溢れる怒濤の世界観や見る者を圧倒するド迫力の殺陣と、宮藤官九郎の笑いの中にも綿密な計算された物語が、これまでにない新しい“いのうえ歌舞伎”を創り上げました。新感線の主宰・演出のいのうえひでのりをして、「これまでで最も映像化に向いた作品かもしれない」と言わしめた『蜉蝣峠』を、どうぞDVDでお楽しみ下さい。